2019年の春,仕事を終えて家路につく所スマホが鳴った
賃貸住宅管理会社のK氏からだった。
「お忙しい所申し訳ありませんが1件最短で入っていただけないでしょうか?」
「はいどんな現場ですか?」
「じつは、今日入居したお客様がクリーニングしてないと、すごく怒ってまして・・・」
「でも内装工事とクリーニングはされたんですよね?」
「はい、内装工事とハウスクリーニングができると業者さんが言ったので早く
完了できると思ってまかせたのですが・・」
「そしたらその業者さんに手直しをしてもらえばどうですか?」
「それが・・・業者が手直しに行って、これ以上できないと・・で
田野さんだったらなんとかしてくれると思いまして・・・」
こうして他社のクレーム処理のため、お客の指定時間通りに
分譲マンションの賃貸物件に伺った。
お客さんは、品のある真面目そうな人だったが、怒った様子で、ユニットバス
トイレ、を見せて手直しに来た業者が一生懸命したがこれ以上できないと
言って帰った事など話してくれた。
確認のためユニットバスのエプロンを外したがメチャ汚い。
「そうだったんですか!順に洗っていきますから、一番気になる所から
遠慮なく言ってください」
「まずお風呂ですが、どうやって落とすんですか?こんな絶望的な汚れ・・・」
「ではエプロンの中から洗っていきますね♡」
お客が2m位離れた脱衣所からジッと見ている。
いつものネタ(自社開発洗浄剤)でいつものように洗っていくと・・・
2m離れた所から「えっ?」と少し驚いた様子でみているお客さんを
そのままにして、作業を優先して黙々と洗浄していく事30分
そして30分後、
エプロンのカビやぬるぬる汚れも排水のドロドロも白く硬い石のようなカリカリ
汚れも順に2~3種類のネタでいつものように施工していくと、2m先のお客さん
が「お~~!」と突然の賞賛の声に場が明るくなった。